▽ 補注:三国/魏官職

筑摩書房『三国志』載録の洪飴孫『三国職官表』より一部を抄出。

 
曹操は建安18年、魏公就任に先立って官名を旧制に戻し、曹丕が黄初元年に改めて東漢の制に復した。
官職名のあとの数字は定員数。
位階は一品〜九品の九階。六朝後期には正・従に細分された。
秩禄は大将軍・三公が月俸350石、中2000石が月180石で真の2000石、2000石は月120石、比2000石は月100石。
以下1000石が月80石、600石が70石、比600石が50石、400石が45石、比400石・300石が40石、
比300石が37石、200石が30石、比200石が27石、100石が16石。 1石は約20リットル。
位階は魏制に依っている為、東漢・蜀・呉とは必ずしも合致しない。
秩禄を位階の基準とした西漢の伝統を継承しているため、品階と秩禄は必ずしも連動しない。
 

上公 (非常置/一品)

相国

1 (万機を総覧。摂政に同じ)
曹操が魏公就任と共に丞相を改称。禅譲で非常置となった。
軍師(軍司)・祭酒/無定員/五品
長史2/六品 (1000石/左右二員。諸曹を統轄)
司馬2/六品 (1000石/左右二員。兵を司る)
従事中郎2/六品 (1000石/謀議に参与する)
主簿1/七品 (庶務を掌る)
参軍22/七品
東曹掾1/七品 (比400石。西曹属とともに相府の官吏任用を掌る)
掾は曹(分局)の主任を指し、副主任は属。
舎人19/九品
 

太傅

1 (帝師)
長史2/六品 (1000石/諸曹を統轄)
司馬2/六品 (1000石/兵を司る)
従事中郎2/六品 (1000石/謀議に参与する)
主簿4/七品 (庶務を掌る)
 

太保

1 (天子の教育輔導)
長史1/六品 (1000石/諸曹を統轄)
司馬1/六品 (1000石/兵を司る)
従事中郎2/六品 (1000石/謀議に参与する)
 

大司馬

1 (軍政を総統。大将軍・太尉で勲功の高い者が就いた)
軍師1/五品
長史1/六品 (1000石/諸曹を統轄)
司馬1/六品 (1000石/兵を司る)
従事中郎2/六品 (1000石/謀議に参与する)
参軍2/七品
主簿/七品 (庶務を掌る)
 

三公

(一品)

太尉

1 (西漢の大司馬。軍政を掌る。六朝では、大司馬と併設された際には大司馬が上位)
軍師1/五品
長史2/六品 (1000石/諸曹を統轄)
司馬1/六品 (1000石/兵を司る)
従事中郎2/六品 (600石/謀議に参与する)
主簿1/七品 (庶務を掌る)
参軍2/七品
舎人4/九品
 

司徒

1 (黄初元年に相国制を廃し、三公に列す。甘露5年に相国制に改む)
東漢以降は内官の抬頭によって宰相としての実態には欠けたが、人事に対する権限は大きく、特に九品官人法では中正官を統括し、郷品の決定権を持った。
軍師1/五品
長史1/六品 (1000石/諸曹を統轄)
晋では左右員が置かれ、殊に左長史は郷品決定の実際を行なって清要官とされた。
司馬1/六品 (1000石/兵を司る)
従事中郎2/六品 (600石/謀議に参与する)
主簿1/七品 (庶務を掌る)
参軍2/七品
西曹掾1/七品 (比400石/府吏採用を担当)
※検察官として司直 (1/比2000石)を配することもある。
 

司空

1 (官吏の監察。黄初元年に御史大夫を改む)
漢初の御史大夫は次期丞相の席であり、武帝のときには丞相の名誉職化に伴い国政を総攬したが、東漢では実権が内官に移ったことで名誉職化した。
軍師祭酒1/五品
軍師1/五品
長史1/六品 (1000石/諸曹を統轄)
司馬1/六品 (1000石/兵を司る)
従事中郎2/六品 (1000石/謀議に参与する)
主簿1/七品 (庶務を掌る)
参軍2/七品

九卿

(三品)

太常

(奉常) 1 (中2000石。礼儀・祭祀や天子の儀杖、博士の考課を司る。孫呉では準三公)
 |丞1/七品 (比1000石・小規模の儀礼・祭祀を司り、諸曹を統轄)
 └主簿1/八品 (庶事を司る)
協律都尉1/六品 (音律を司り、楽人を監督)
太学博士19/五品 (比600石。五経博士。太学で経学を講義。長は太学祭酒)
太学は首都に置かれた官属の最高学府。国子学の創設後は、出世コースとしては第二級とされた。
※晋武帝のとき、貴族子弟の教育機関として国子学が創設され、国子祭酒を頂点として国子博士・国子助教が教授。また梁武帝の五経博士は、各地に新設された五館に配された。
太史令1/六品 (600石。天文星暦と吉凶、記録を司る)
 |丞1/八品 (200石)
 └ 霊台丞1/八品 (200石。天文の観察・暦の頒布)
太廟令1/七品 (600石)
太祝令1/七品 (600石。国家祭祀に於いて祝詞を司る)
 └ 丞1/九品 (小事における祝詞を担当)
太楽令1/七品 (600石。国家祭祀・大宴で奏楽を司る)
博士4/六品 (比600石。太常博士。学問・掌故を掌り、祭祀の礼を議す)
 

光禄勲

(郎中令) 1 (中2000石。宮門の宿衛や殿中侍衛士、侍従を統禦) − 丞1/七品 (比1000石)
中郎将5/四品 (比2000石。元は左右2員。漢末に南・北・五官を追加。それぞれ対応する署の郎を統禦)
|中郎/無定員/八品 (比600石)
|侍郎/無定員/八品 (比400石)
└郎中/無定員/八品 (比300石)
中郎将に従う諸郎はしばしば“郎官”と総称され、漢初では主に官僚や富豪の子弟が官僚候補として天子の側近・宿衛を任とした。 議郎が最上位。
羽林中郎将1/五品 (比2000石。蜀は羽林左右都督、呉は羽林督。羽林郎を統禦) − 司馬1/七品
|羽林郎/無定員/八品 (比300石。近衛・儀杖兵)
└羽林監1〜2/五品 (600石。羽林騎を統禦)
虎賁中郎将1/五品 (比2000石。虎賁兵を統禦) − 司馬1/七品 − 虎賁郎〜1000 (侍従・近衛兵)
|中郎/無定員/七品 (比600石)
|侍郎/無定員/七品 (比400石)
└郎中/無定員/七品 (比300石)
虎歩監・虎騎監 (各1。蜀のみ)
繞帳督1 (呉のみ) − 帳下部督 (左右1員)

奉車都尉/無定員/六品 (比2000石。天子の車馬を司る。しばしば加官とされる)
駙馬都尉/無定員/六品 (比2000石。天子の副馬を司り、転じて公主の夫への加官)
騎都尉/無定員/六品 (比2000石。羽林の従騎を統禦。しばしば加官とされる)
奉朝請 (元来は天子に謁見する資格)
西漢で諸侯王の義務である春の入朝を“朝”、秋の入朝を“請”と称したことに由来する。 後に列侯・特進などの有爵者が無官のまま朝議に参与することを指すようになり、無定員の近侍三都尉の総称を経て南北朝で官名として定着した。
議郎/無定員/七品 (600石。侍従顧問)
太中大夫/無定員/七品 (1000石。侍従顧問)
一定の職務は無く、官僚予備軍を形成。光禄大夫に亜ぐ名誉職でもあった。
中散大夫/無定員/七品 (600石。侍従顧問)
一定の職務は無く、官僚予備軍を形成。太中大夫に亜ぐ名誉職でもあった。
諫議大夫/無定員/七品 (600石。侍従顧問)
謁者僕射1/五品 (比1000石。高官の任命、百官の序列を担当) − 謁者 10/八品 (400石)
守宮令1/七品 (600石。文房具類や封泥を管理) 黄門令1/七品 (600石。漢台は少府に属し、宦官を統制)
掖庭令1・七品 (600石。後宮の貴人・女官を監督)
暴室令1/七品 (600石。宮女の疾病者や妃嬪の罪人を管理)
 

衛尉

(中大夫令) 1 (2000石。宮門警衛、宮中巡邏を担当 ) − 丞1/七品 (1000石)
公車司馬令1/六品 (600石。宮殿の南門を守護し、吏民の上書や四方からの貢賦、天子の招聘者を掌る)
衛士令1/七品 (600石。衛士を統制)
都候2/七品 (600石。左右一員。巡察および詔囚逮捕を担当)
 ※衛尉は長楽・甘泉・永寧などの皇太后宮にも置かれた。
 

太僕

1 (中2000石。天子の車馬・行幸を司る) − 丞1/七品 (1000石)
典虞都尉1/六品 (狩猟を司る)
典牧令1/七品 (600石。牧馬を司る)
中牧官都尉2/六品 (左右1員。辺郡の御苑の馬を司る)
考工令1/七品 (600石。武器や宮中の調度を作成)
車府令1/七品 (600石。天子の車駕を管理)
 

廷尉

(大理) 1 (中2000石。裁判・刑獄を司る) − 主簿1/八品
廷尉正・廷尉監・廷尉平 /六品 (各1員。600石。廷尉の副。詔獄のことを行なう)
律博士1/六品 (600石。刑律を司る)
 

大鴻臚

(典客・大行令) 1 (中2000石。諸侯・帰服異族を司る) − 丞1/七品 (1000石)
 漢成帝のときに服属異民族を統制する典属国を吸収。
客館令1/七品 (600石。都の諸侯の邸を司る)
 

宗正

(宗伯) 1 (中2000石。皇族の事を司る) − 丞1/七品 (1000石)
公主家令1/八品 (600石。公主ごとに配す。万戸以上は七品)
|家僕1/九品 (600石。万戸以上は七品)
└家丞1/九品 (300石。万戸以上は七品)
 

大司農

(治粟内史・大農令) 1 (中2000石。政府財政や貨幣の事を司る) − 丞1/七品 (比1000石)
大倉令1/七品 (600石。諸郡より輸送された穀物を受納) − 丞1/九品 (300石)
均輸令1 (600石/ ※はじめ少府に属し、専売を司った) − 丞1
典農中郎将1/六品 (2000石。大郡の民屯を司る) − 司馬1/八品
度支中郎将1/六品 (2000石。大郡の軍屯を司る) − 司馬1/八品
典農・度支は小郡には校尉 (六品/比2000石)、県には都尉 (七品/600〜400石)が置かれた。
 

少府

1 (中2000石。宮中の服飾や膳を司る ) − 丞1/七品 (比1000石)
材官校尉1/六品 (比2000石。天下の木材を司る)
太医令1/七品 (600石。侍医長) − 薬丞1/九品 (薬を司る)
太官令1/七品 (600石。天子の飲食を司る)
上林苑令1/七品 (600石。苑内の禽獣を管理する) − 丞1/九品 (300石)
御府令1/七品 (600石。宮中の衣服の補修洗濯を司る) − 丞1/九品 (300石)
鉤盾令1/七品 (600石。遊苑所を管理) − 丞1/九品 (300石)
中蔵府令1/七品 (600石。宮中の幣帛金銀諸貨物を管理) − 丞1/九品 (300石)
尚方令3/七品 (600石。天子の御物の製作を司る) − 丞1/九品 (400石)
平準令1/七品 (600石。物価統制と織物の染色を司る。西漢で大司農から移動) − 丞1/九品 (200石)

- 以上九卿 -

 

将作大匠

1/三品 (2000石、準九卿。器物製作・建築を司る) − 丞1/七品 (600石)
左校令1/七品 (600石。木工を司る)
右校令1/七品 (600石。石工・土工を司る)

御史台


御史中丞1/四品 (1000石。官吏の監察・弾劾)
御史大夫の名誉職化に伴い御史台の長官となり、曹操の丞相制再開で御史大夫から公式に分離された。北魏の御史中尉・中尉。
持書執法1/六品 (上奏弾劾を司る)
侍御史8/七品 (600石。監察・弾劾、上奏文の遺失を弾劾。八曹よりなる)
持書侍御史2/六品 (600石。律令を司る)
殿中侍御史2/七品 (600石。殿中にあって儀式などの非違不法を監察する)
 

都水台


都水使者1/四品 (水沢・灌潜・河水運河の保守を司る)
水衡都尉5/六品 (前後左右中5員。水軍の舟船・器物を司る)
 

符節台


符節令1/五品 (600石。節、銅虎符・竹使符などを司る)
 符璽郎4/七品 (宮中にあって璽を司り、また虎符・竹符の一方を保管)
 
 
 

侍中府


侍中4/三品 (比2000石。天子の側近顧問。加官のときは無定員)
六朝では政務の枢要に参与。清要官として僑姓二品に独占された。
散騎常侍4/三品 (比2000石。天子の側近顧問、加官のときは無定員=員外散騎常侍)
散騎と中常侍の合したもの。“散騎”はもと、天子に騎馬で扈従する定員外の侍従武官。
※晋代には散騎省として独立し、やがて黄門侍郎と共に枢要官となったが、南朝中期には実職を伴わない名誉職となり、一級下に通直散騎常侍も設けられた。
散騎侍郎4/五品 (600石。散騎郎とも。侍中・黄門侍郎と共に尚書奏事を処理する。南朝では無定員)
晋以降は名門子弟の起家官とされたが、次第に肥大化して南朝末には重んじられなくなった。
中常侍/無定員/三品 (比2000石。宦官。内宮の庶事を統括し、顧問・応対・給事をも掌る)
給事中/無定員/五品 (顧問・応対を掌る。正員と加官がある)
黄門侍郎4/五品 (600石。黄門郎とも。元は少府に属して宦官が就いた天子の側近官)
東漢から士人が任じられ、中宮と外廷の連絡を担当し、天子では近侍して尚書の事務を掌った。 六朝では散騎常侍と並んで最も清顕で、“黄散”と併称された。黄門は禁中の門。
黄門僕射1/六品 (600石。宿衛、門戸の守備、行幸の護衛を掌る)
小黄門/無定員/七品 (600石。尚書の奏事を受け、中外の連絡や中宮の庶事を掌る)
中黄門/無定員/七品 (比300石。禁中に給仕)
 

尚書省

(少府から独立)
三国魏よりは独立した省となって中央の行政執行機関となり、文書の奏事と人事をも司って枢要官の最たるものとされた。 五曹ないし六曹に分局して各尚書が置かれ、六曹の名称は唐代に吏部・戸部 (度支・民部)・礼部 (祀部)・兵部・刑部 (都官)・工部に定まった。
尚書令1/三品 (1000石。尚書台の長官。官吏の考課、奏事を司る。三国魏では宰相の実を備えた)
尚書僕射2/三品 (600石。左右二員。文書の開封、官吏の考課任免、銭穀の受納など)
尚書5/三品 (600石。吏部・左氏・客曹・五兵・度支の五曹に置き、行政の実務を指揮)
尚書左丞1/六品 (400石。台内の禁令、宗廟・祠祀・朝儀の礼制などを司る)
尚書右丞1/六品 (400石。倉庫の器物、刑獄の武器などを司る)
郎中25/六品 (400石。詔書の起草を掌る。25曹よりなる)
人事権は東晋より分業化の傾向を示し、尚書令・僕射が人事を司る際は“領選”、尚書・郎などのときは“参掌”と呼んだ。
 

中書省

(少府から独立)
漢武帝が近侍官として設置した中書謁者令の後身。三国魏では黄初二年 (221)に秘書令を中書令と改称し、同時に中書省を設置。
中書令1/三品 (1000石。詔勅政令などを司り、政務の枢機にも参与して宰相の実を備えた)
中書監1/三品 (1000石。秘書令を中書令と改称した際に併設。職掌は中書令と同じ)
中書侍郎4/五品 (中書郎とも。省次官。詔勅を掌る。六朝では清官として重んじられた)
詔勅の起草は次第に中書舎人に移行し、特に中書省が重んじられた陳朝では清要の筆頭とされた。
中書通事1/七品 (通事都尉・通事侍郎とも。上奏を掌る)
著作郎1/六品 (魏の太和中に設置。国史を掌る。呉の国史)
晋以後、就任に際し名臣伝一人を撰するため、貴顕には敬遠された。
└ 佐著作郎3/七品 (著作郎の副官。劉宋以降、著作佐郎と改称された)
南朝を通じて秘書郎に亜ぐ清官とされたが、晋宋交替期に限っては隠士に授けられ、就かないのが例となっていた。
※起居注 (南朝で著作から分離。修起居注とも。天子側近の史官)
天子の言行録をも指し、これは実録の原典とされた。北魏では起居令使と呼ばれ、他官を兼ねる修起居注も置かれた。
 

秘書省


秘書監1/三品 (600石。宮中の図書・秘記を掌る)
南朝では実務と責任を伴うため、清官には数えられなかった。
└丞2/六品 (400石。左右二員。南朝では諸丞官中で例外的な美官され、“天下第一の清官”と称された)
秘書郎4/六品 (400石。三閣所蔵の経書を補修校勘。六朝では門地二品の子弟が起家する清官)
校書郎/八品 (秘書の校訂など)
 

皇后府


大長秋1/三品 (2000石。皇后府の長官) − 丞1/七品 (600石)
皇后府・皇太子府はもとは・事によって管理されていたが、漢成帝のとき分割された。
 

皇太子府


太子太傅1/三品 (中2000石。皇太子を輔導) − 丞1/七品
太子少傅1/三品 (2000石。皇太子を輔導) − 丞1/七品
太子・事1/三品 (2000石。皇太子府の長官) − 丞1/七品
太子家令1/五品 (1000石。財政・服膳を管理。天子の司農・少府に相当)
六朝では太子の官属は概ね清官とされたが、家令のみ実務煩瑣なため一級貴族に敬遠された。
太子率吏令1/五品 (1000石。庶子・舎人を統禦。天子の光禄勲に相当) − 丞2 (400石)
太子舎人/無定員/七品 (200石。宿衛官。天子の三署郎中に相当)
もとは雑用を担当したが、顧問官に転化した。 六朝では太子洗馬と並ぶ清官の尤とされ、中舎人には才学に優れた者が選ばれて天子の黄門侍郎に比せられた。
|太子庶子/無定員/五品 (400石。宿衛官。天子の三署郎に相当し、六朝では散騎常侍に比せられた)
└太子中庶子5/五品 (600石。天子の侍中に相当)
庶子より班位が高く、清官としての格は洗馬・舎人に亜いだ。
太子僕1/五品 (1000石。車馬を司る。天子の太僕に相当) − 丞2 (400石)
太子衛率1/五品 (400石。宮門の衛士を司る)
太子侍講1/六品 (諸皇子の教育を担当。呉の都講祭酒)
太子門大夫2/六品 (600石。天子の郎将に相当)
太子洗馬16/七品 (比600石。太子外出時の先導をつとめ、天子の謁者に相当)
晋以降は太子の図書・講経のことなどを掌り、門地二品の一級貴族が就いた。
太子文学 (呉の太子賓客)
 
 
大将軍1 (禁軍の長。非常置。東漢の竇憲以降は三公の上位とされた)
漢代を通じて概ねは外戚が就き、執政を行なった。魏晋以降は有力将軍への加号的に濫用された。
|軍師1/五品
|長史1六品 (1000石/諸曹を統轄)
|司馬2/六品 (1000石/兵を司る)
|従事中郎4/六品 (600石/謀議に参与する)
|主簿1/七品 (庶務を掌る)
|参軍6/七品
|記室/七品 (上奏など文書を掌る)
|西曹掾1/七品 (比400石/府吏採用を担当)
|東曹掾1/七品 (比400石/郡守県令の人事を担当)
|営軍都督・刺姦都督・帳下都督 /七品 (各1員)
└舎人14/九品 (府内の雑事を掌る)
驃騎将軍1/二品 (都督。常設将軍の最高位。格式は三公に亜ぐ。騎兵師団長として発した)
車騎将軍1/二品 (都督。常設将軍の最高位。格式は驃騎将軍に亜ぐ。車騎兵団長として発した)
平時に任じられる場合は天子や太后の執政を輔け、名誉官として宦官が就く場合もあった。
衛将軍1/二品 (北軍(京師禁軍)の総司令官として発し、格式は車騎将軍に亜ぐ)
上級将軍が名誉職化した六朝では最も実権があった。 “衛軍”と略されることが多く、下部組織として左右両衛があり、それぞれ左衛将軍・右衛将軍が指揮した。
中軍大将軍1/二品 (非常置)
上軍大将軍1/二品 (非常置)
鎮軍大将軍1/二品 (非常置。魏では皇帝親征の際に幕僚総管として扈従した)
撫軍大将軍1/二品 (魏では皇帝親征の際に後方支援の事を総管した)
輔国大将軍1/二品 (非常置) 南中大将軍1/二品 (非常置。魏末に呉将の来降者のために新設)
┌軍師1/五品
|長史1/六品 (1000石)
|司馬1/六品 (1000石。席次は長史に亜いだが、軍兵を統べたために戦時には長史より重職)
|従事中郎2/六品 (600石。謀議に参与して諸参軍を統轄)
|参軍2/七品 (将軍が持節のときは6名。参軍事とも)
 府属の幕僚職の総称。西晋末頃から分業化が進み、各部局に分れて事務を分担した。最上席の“諮議参軍”の格式は長史・司馬に亜ぐ。 文書を担当する記室参軍 (記室)には文藻に優れた者が任じられ、参軍の中でも重視された。
|門下督・営軍督・刺姦督・帳下督・記室督 /七品 (各1員)
|主簿1/八品
└東曹掾・西曹掾
※諸将軍の属官の構成はほぼ同じ。
城門校尉1/四品 (比2000石。洛陽の城門12門を司る) − 司馬1/七品 (1000石) − 候12/七品 (600石)

屯騎校尉1/四品 (比2000石。宿衛の騎兵を指揮) − 司馬1/七品 (1000石)・主簿1/九品
歩兵校尉1/四品 (比2000石。上林苑の屯兵を指揮) − 司馬1/七品 (1000石)・主簿1/九品
越騎校尉1/四品 (比2000石。越騎を指揮) − 司馬1/七品 (1000石)・主簿1/九品
長水校尉1/四品 (比2000石 長水・宣曲の胡騎を指揮) − 司馬1/七品 (1000石)・主簿1/九品
射声校尉1/四品 (比2000石。宿衛の弓兵を指揮) − 司馬1/七品 (1000石)・主簿1/九品
※屯騎〜射声は北軍五営として衛将軍・大将軍に直属。兵員は『漢官』では各700とある。

金吾府


執金吾 (中尉)1/三品 (中2000石、準九卿。都城内の治安を司る ) − 丞1/七品 (1000石)
 武庫令1/七品 (600石。武器を管理) − 丞1/九品 (300石)

中軍


中領軍1/三品 (領軍将軍とも。領軍を指揮し、京師の禁軍を統督 ) − 長史1・司馬1/七品 (600石)
晋以降は領軍将軍となり、低門者が就いた場合に中領軍と呼ばれた。僕射に匹敵する要官。
中護軍1/四品 (護軍を指揮。蜀では他に前後左右護軍、呉では左右護軍がある) − 長史1・司馬1/七品 (600石)
もとは護軍。建安中に中護軍と改められ、晋以降は護軍将軍。禁軍の人事を司って領軍に亜ぐ要官とされた。
武衛将軍1/四品 (比2000石。漢の雑号将軍。皇帝の親衛兵を統率) − 長史1・司馬1/七品 (600石)
中塁将軍1/四品 (比2000石。漢の校尉。宿衛兵を司る)
驍騎将軍・游撃将軍1/四品 (比2000石。ともに漢の雑号将軍。京城内の治安維持を担当)

外軍


征東将軍1/二品 (2000石。寿春に駐し、青・兗・徐・揚州の刺史を統御)
征南将軍1/二品 (2000石。新野に駐し、荊・豫州の刺史を統御)
征西将軍1/二品 (2000石。長安に駐し、雍・涼州の刺史を統御)
征北将軍1/二品 (2000石。薊に駐し、幽・冀・幷州の刺史を統御)
四鎮将軍1/二品 (東西南北4員。四征将軍とは併置せず)
以上、属官は中軍の二品将軍に準じる
征鎮四将軍は都督区の統督でもあり、概ねは征将軍は外征時に任じられた。
四安将軍1/三品 (東西南北4員)
四平将軍1/三品 (東西南北4員)
前後左右将軍、輔国・鎮軍・冠軍・度遼・征虜・平難将軍などは何れも三品官
前後左右の四将軍は、漢に於いては衛将軍に亜ぐ位階にあったが、四方将軍の抬頭で朝臣的な存在となり、朝議にも列した。
征虜将軍・鎮軍将軍・平寇将軍・輔国将軍・都護将軍・虎牙将軍・冠軍将軍・度遼将軍などは三品官。
強弩将軍・寧朔将軍・積弩将軍、建振奮揚広の五威将軍と五武将軍は何れも四品官。
鷹揚将軍・折衝将軍・伏波将軍・盪寇将軍・討逆将軍・破虜将軍・楼船将軍などは何れも五品官。
 牙門将軍・偏将軍・裨将軍は何れも五品だが、無定員で正規の将軍とは見做されない。
牙門将軍は本来は大将軍の営門(牙門)を守護する将官。
裨将軍は副将的存在、偏将軍は半将軍で、いずれも将軍候補生。州牧が叙任する事も多かった。
護匈奴中郎将・護羌校尉・護烏桓校尉・護鮮卑校尉・戊己校尉は四品 (比2000石)
それぞれ異民族を統禦し、多くは刺史を兼ねた。
※南朝の護南蛮校尉は湘州の異民族を統禦して時に荊州都督が兼ね、その場合は湘州の軍事も管掌した。
 
 

加官など


儀同三司 無定員/二品 (三公と同格の儀杖)
しばしば“開府”と共に与えられた。晋代では開府が認められた光禄大夫も“儀同三司”と呼ばれた。
開府/無定員 (府の開設を認める)
東漢の上級将軍が三公同様に府(政庁)を開設したことに由来し、魏で統督将軍の開府が常態化したことで称号化した。 はじめは“儀同三司”も同時に加えられた。
※梁の官制改革で設定された上開府は、開府の正四品に対し従三品に位した。
 特進/無定員 (九卿と同格の格式。主に諸侯に認められた)
録尚書事/非常置 (総録尚書事。平尚書事・領尚書事とも。宰相として尚書を統轄)
公卿の最有力者が任じられ、尚書を総録することで宰相としての実態を得た。
光禄大夫/無定員/三品 (比2000石。天子側近の顧問官)
格式は三公に亜ぎ、高官に与えられた名誉職。
※本来は光禄勲に属したが、東漢を通じて天子の顧問官として独立した。
晋以後では特に金印紫綬(二品)を認められた者は“金紫光禄大夫”と呼ばれて殊遇された。
光禄大夫は本来は銀印青綬で、南斉より銀青光禄大夫と呼ばれたが、北魏では誤って光禄大夫>金紫>銀青と序列し、唐に至って光禄大夫は従二品、金紫光禄大夫は正三品、銀青光禄大夫は従三品とされた。
 
 

統督


大都督1/一品 (非常置。仮黄鉞を常態とし、中外軍を総督。蜀では中護軍が相当)
都督/無定員/四品 (刺史を兼領した場合は某州都督 )− 護軍/五品
監軍/無定員/四品 (主に資品の低い都督の称)
六朝時代の州郡の長史は一般に都督府の長史を指し、都督が王族である場合は往々にして都督府の全権を掌握すると共に治所の太守を兼ね、司徒左長史に匹敵する枢要官とされた。
 

地方官

州級


司隷校尉1/三品 (比2000石。首都を含む数郡の監察・治安維持。晋では司州刺史に転じた)
州刺史1/五品 (600石。州の行政長官 )
州牧1/四品 (2000石。刺史が兵権を兼ねたもの)
※晋以降、刺史が持節都督を兼ねた場合は二品とされた。
従事 (州の諸曹掾の汎称。別駕・治中・功曹・部郡国・兵曹・文学・武猛)
別駕従事史 (別駕とも。州刺史の最高級の属官)
清官でもあり、諸曹を総括して刺史を補佐した。その名称は、刺史とは別に乗輿を用いたことに由来する。
治中従事史 (治中とも。州府の人事を担当。別駕に亜ぐ高級属吏)
部郡国従事 (境内の1郡国を監察)
主簿 (本義は帳簿を司る属吏)
功曹 (功曹書佐/西曹書佐。主として人事を担当して重んじられた)

郡級


尹1/三品 (2000石。国都を含む郡の長官。西漢の京兆尹、東漢・魏晋の河南尹、南朝の丹陽尹など)
太守1/五品 (2000石。行政・治安・官吏推挙など。魏ではすべて将軍号を帯びる) − 丞1・長史1/八品 (600石)
中正1/八品 (九品官人法により、人材の選抜推挙にあたる)
主簿 (郡の文書を担当。郡主簿と功曹は“綱紀”と呼ばれ重んじられた)
功曹 (功曹史。郡府の人事を担当)
上計吏 (上計掾とも。京師への会計報告)
督郵 (複数県を監察)
都尉1〜2/五品 (比2000石。属国や郡部の治安維持) − 長史1・司馬1/八品 (600石)
郡部の丞・長史・司馬は中央から叙任されて“長吏”と称された。
国相1/五品 (2000石。王国・公国とも。職務は太守と同じ。晋の内史)
都尉1/五品 (比2000石) 傅・保・友1/六品
郎中令・中尉・大農・司馬1/七品
常侍・侍郎/無定員/八品
家令1/八品

県級


県令1(大県) 六品/1000石 − 丞1/八品/400石・尉2/九品/200石
※西晋では大県は公府掾資とされ、県令は七品以上の士人に限られた。
県令1(中県) 七品/600石 − 丞・尉1/九品/200石
県長1(小県) 八品/300石 − 丞・尉1/九品/200石
国相1/八品 (300石。侯国。職務は県令と同じ) − 家令1/七品
 家丞・傅・監国謁者1
 庶子・文学

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